遺産分割の基準と方法

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遺産分割

遺産分割とは、相続の開始によって、相続人の共同所有に属している相続財産の全部又は一部を、各相続人の単独所有もしくは新たな共有関係に移行させる手続のことです。

相続の開始と同時に、被相続人の財産は相続人に移転します。相続人が1人の場合は、遺産は相続人の単独所有になり、分割の問題は生じませんが、相続人が数人ある場合は、遺産の共同所有関係が生じていることになり、いずれ各相続人に確定的に帰属させる手続が必要となります。

遺産分割の基準

実質的基準

遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行われます。

遺産分割の経済的基準として相続分という基準がありますが、遺産を構成する具体的財産には、不動産、動産、債権その他多種多様のものがあり、土地といっても宅地、山林、農地等によって全く性質が異なります。また、相続人も年齢、職業、収入、健康状態等、多種多様です。そのため、相続の背景となる多種多様の事情も考慮して分割することとなります。

相続分との関係

遺産分割審判では、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して遺産分割を行なうものの、これはあくまでも指針を定めたものであり、各人の最終的な取り分の割合は相続分に従わなければならないという考え方が原則です。

具体的には、建物を現に居住している者に取得させたり、農地を農業従事者に取得させたりする配慮はするものの、相続人間に不均衡が生じる場合に、預金等その他の遺産で均衡をとり、相続分そのものを変更することまでは許されていません。

もっとも、相続人間の合意が成立する限り、相続分とは異なる観点から自由に分割でき、特定の相続人の取得分をゼロとする分割協議も有効と考えられています。

遺産分割の方法

遺産分割の方法には、遺言による分割、協議による分割、調停による分割、審判による分割の4種類があります。

遺言による分割

被相続人は、遺言で分割の方法を定め、もしくはこれを定めることを第三者に委託することができます。分割の具体的な方法や、個々の財産をその性質や形状を変更することなく相続人に配分する現物分割、相続人の一部にその相続分を超える財産を取得させ、他の相続人に対し債務を負担させる代償分割、遺産を売却処分してその価額を分配する換価分割、いずれによるべきかの指定もできます。なお、相続分の指定が無効であるとき、あるいは第三者が相当の期間内に指定をしない場合は、他の手続によることになります。

協議による分割

協議による分割は、裁判所が関与せずに、相続人全員の合意により遺産を分割する手続で、最も一般的な分割方法といえます。相続人は、被相続人が遺言で分割を禁じた場合を除き、いつでも協議で遺産の分割をすることができます。相続人全員の意思の合致がある限り、分割の内容は相続人の自由に任されており、指定相続分あるいは法定相続分に従う必要はありません。遺産分割協議の当事者は、相続人全員です。また、協議が成立した場合、遺産分割協議書を作成するのが通常です。

調停による分割

相続人間で分割の方法について相続人間の意見が一致しない場合や、協議をすることができないときは、各相続人は、分割を家庭裁判所に請求することができます。家庭裁判所に対しては、まず調停を申し立てることが一般的ですが、直接審判の申立てをすることもできます。

調停は当事者となる相続人の合意にその基礎をおくものですから、実質的には家庭裁判所における調停委員会もしくは家事審判官のあっせんによる協議分割とみることができます。そのため、分割方法は法定相続分あるいは指定相続分に従う必要はないと考えられています。また、相続債務、遺産からの果実、遺産の管理費用及び相続税等の清算を調停手続の中で行うなど、その運用は柔軟になされています。

審判による分割

遺産分割調停が不成立となった場合、調停申立時に審判の申立てがあったものとみなされ、審判手続に移行します。審判分割においては、家庭裁判所の審判官が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、各相続人の相続分に反しないよう分割を決定します。協議や調停と異なり、当事者の合意がなくとも、分割方法が決定される点に審判の特色があります。

遺産分割審判は、告知を受けた日から起算して2週間が経過すると確定し効力を生じます。審判に対し、不服のある当事者は、この期間内に即時抗告をすることができます

抗告審が即時抗告の理由があると認めたときは、原審判を取消した上、事件を原審家庭裁判所に差し戻すのが原則であり、すでに事実関係が明らかであるなど例外的な場合には原審判を取り消して自ら審判に代わる裁判を行います。